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早過ぎた原作、そして今だからこそ!!【天空の蜂 at MOVIX亀有】 [映像・音楽]

阿蘇山が噴火するし、一向に秋晴れが続かず、今夜からまた少し雨を気にしながらの日々になりそうで困ったモノです。
この調子だとこの冬の野菜の供給に深刻な影響が出そうですし、運動したくても雨量の予想が出来ない雨には振り回されそうで気が滅入ります。
 
さて、今日はそんな前置きとは何の関係も無く一昨日からお送りしてる映画ネタの最終回です。
最終回は20年前に執筆されたとは思えないほど、今のこの国の抱える問題を浮き彫りにしてる東野圭吾氏の【天空の蜂】が堤幸彦監督によって実写映画化されたと言うので観て参りました。



原作小説も当時、話題になったのは知っていましたが、どうしても【パトレイバー2】を観てしまった後だとテロの在り方や思想も含めて読むに至らなかったのを覚えています。
それに周りが読んでて耳に入ってくる情報でその余りに現実感のない自衛隊に納入される予定の国産超大型輸送ヘリ“ビッグB”を当時のCGでは描き切れる訳もないのはあの頃の日本映画を観ていた者なら誰もが思っていた事でしょう。
それから20年が経った訳ですが堤幸彦監督がメガホンを取ると言う事と春に【機動警察パトレイバー THE NEXT GENERATION -首都決戦-】を観て、今の技術なら十分、架空のヘリでもスクリーンに現実感を以て羽ばたかせる事が可能だなぁと思ったので観る事にしたのでした。


予告から入って来る情報と20年前の友人達が交わしていた会話程度の知識で鑑賞に臨んだのですが、まぁしっかり予告には欺かれましたわ。
まさか、モッくん演じる三島が主犯格だったとはねぇ。
名前の付け方から三島由紀夫を彷彿とさせる、常人然とした中にある静かなる狂気に満ちたテロと言うか実験と言う名の警鐘を鳴らそうとした三島と言う人物を演じ切れるのは彼を置いていなかったでしょう。
自動操縦の巨大ヘリを高速増殖炉の真上に座し、燃料切れが起こるまでの短い時間(8時間)での日本中の原発の活動不能と言う無茶な要求を突きつけつつも、その実は自身が設計した高速増殖炉こそが巨大ヘリの落下にも耐えられる自信に基づき、要求の是非に限らず端から落とすつもりだったその覚悟は、この国の大多数の事なかれ者に対する静かなる鉄槌とも取れる訳で少なからず分からないでもない部分が私の中にも仄暗く存在する部分と向き合わざるを得なかったですね。


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そんな三島が引き起こした静かなる狂気に対して恐らくは原作にはないエピローグとして東日本大震災に自衛官としてヘリを操る成長した湯原の息子・高彦を予告で映っていたのに誰の役で出演するのだろうと思っていた向井君が演じ、ボランティアとして活動する江口洋介さん演じる湯原と偶然出逢い、語り合うシーンに三島が落とした鉄槌は少なくともその事件に関わった者には響いていた事を印象付けるものに仕上がっていて更に考えさせられました。
これを描きたかったからこそ、原作では湯原の息子ではなく同僚の山下の息子が起動したヘリに取り残される部分を置き換えたのだと気付きました。

最後に何より大事なのは、臭い物に蓋をしろ的な行動しかしない層を野放しにしていては、その時々、立場が違えど窮して護るべき盾がない人達が苦しむだけだと言う事です。
恩恵を被ってる筈なのに暢気で無責任にコロコロと意見を変えながら、当事者じゃない事を良い事に胡座を掻き続ける無意識の悪意ある人々の心根が変わらん事を切に願う、そんな映画です。
ただのクライムサスペンスだと捉えるには余りに今の時代に符号し過ぎてますし、事なかれ過ぎる個々が少しでも立ち返るきっかけになるのなら、もっともっとヒットして欲しいものです。



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